牛乳よりもサステナブルで健康的な代替乳として近年注目されているオーツミルク、ヘルシーでダイエットに効果的な食材として注目されているオートミールなど、最近日本でも“オーツ麦”の製品のブームが起きていますね!
実は、フィンランドは世界有数のオーツ麦生産国の一つであり、一人当たりの消費量は世界一であると言われています。フィンランドがなぜオーツ麦生産大国になれたのか、その理由はフィンランド特有の気候と土地柄に潜んでいます。
オーツ麦の生産に適したフィンランドの気候と土地柄
フィンランドは、最南端の首都ヘルシンキでも北緯60度以上であり、国土のほとんどが、それよりもずっと北に位置しています。6-8月の夏を除いて基本的には非常に寒冷な気候が続き、冬はまさに極寒ともいうべき厳しい気候になります。そんな特異的な気候の元で、フィンランドでは非常にユニークなカタチでオーツ麦が大量に生産されています。
フィンランドでは、短期間で集中的にオーツ麦が生産されます。具体的には、5月に植えられ、8-9月に収穫されます。夏至の季節には、フィンランドの南方の地域でも日照時間は約19時間にも及び、国土全体が、長い日照時間が特徴的な気候に恵まれます。その膨大な夏至の日光のおかげで、フィンランドは北方でも大量のオーツ麦を生産できるのです。
また、極寒の冬には、フィンランドの土壌はすっかり凍ってしまいます。実は、その冬特有の凍土もまた、オーツ麦の生産を支えているのです。土壌が凍ることで害虫の生息が自然に妨げられるため、殺虫剤を大量に使うことなく土壌を保つことができ、ピュアでクリーンなオーツ麦を夏に大量生産できるのです。
フィンランドでオーツ麦の生産に使われる水も、国土の自然の恵みによるものです。国内に約188,000もの湖があり、その水は世界でも有数の綺麗さ・純粋さを誇っています。実は、フィンランドの水は日本の水よりも安全で美味しいと言われています。私もいつも水道水をそのまま飲んでいますが、確かに日本の水よりも飲みやすいなあ、という印象を抱いています。
参考:LUMINOUS FINNISH OATS SUOMI KAURA LATITUDE 60° NORTH FINLAND
フィンランドではオーツミルクが大人気
そんなフィンランドの自然の恵みを最大限に生かして生産され、食卓の一部となって浸透しているオーツ麦ですが、実際に住んでみると、その浸透度合いをいたるところで感じられます。
たとえば、“牛乳”よりも環境負荷が小さく健康にも良い“代替乳”として、近年日本でも注目されているオーツミルクですが、フィンランドでの普及度合いは凄まじいものです。実際、フィンランドは、一人当たりのオーツミルクの消費量が世界一だと言われています。
カフェでカフェラテを頼むとき、ミルクをオーツミルクに変更すると、日本では50円程度の追加料金が求められることが多いですが、フィンランドでは追加料金なしで変更することができます。
スーパーでミルクのコーナーを見ても、オーツミルク又はその関連商品が占める割合が非常に大きいことがよくわかります。(下図)
オーツミルクは普通の牛乳の3倍ほどの値段で売られているにも関わらず、これほど大きな市場を持っているということには、フィンランドでのオーツミルクの需要の高さがまじまじと感じられますね。
オーツミルクだけじゃない!オーツ麦製品のバラエティの豊富さ
オーツ麦の製品はオーツミルクにとどまりません。日本でも近年ブームになったオートミールや、米の食感に似ている”オーツ麦米”、オーツグラノーラなど、様々な商品がスーパーに並んでいます。
以前、私が住んでいる学生寮の運営会社に手続きに行った際に、大学生に無料でオーツ麦製品セットが配布されました。
総額約1500円相当のオーツ麦セットが無料で大学生に配布されているところからは、フィンランドでのオーツ麦の普及度の高さと、学生へのサポートの充実度の高さが感じられますね。
フィンランド特有の環境と気候を全面に生かし生産されたサステナブルなオーツ麦を、日々の食卓に積極的に取り入れていくフィンランド人の暮らしの姿勢は、我々日本人も学んでいくべきものなのではないかと痛感しています。
「日々食べるもの」。そんな小さなところから、サステナブルに暮らす工夫を取り入れていきたいですね!
文・構成・写真/SD学生編集部(M.M 在フィンランド)