“Slush”というイベントをご存じですか?Slushは、毎年ヘルシンキで開かれる世界最大級のスタートアップ企業・投資家向けのイベントで、世界を変える起業家を生み出し、支えたいというミッションのもと開催されています。Slush2023(2023/11/30〜2023/12/1開催)では、5,000人ものスタートアップ起業家/関係者、3,000人もの投資家らを含む、13,000人もの人が来場したとのことです。
そして、Slushの運営は約1,600人ものボランティアによって支えられています。イベント前後・当日のSNSやウェブの運営、当日の会場管理・イベント運営など様々な役割があり、ボランティアはそれぞれグループに振り分けられ活動します。
私は“Startup special activity group”に配属され、スタートアップ企業向けのイベントに関する業務を担当しました。今回の記事では、Slushのボランティアに参加前、参加当日、参加後にどのような経験ができるのか、紹介していきたいと思います。
Slushのボランティアに参加するまで
9月上旬頃にSlushのボランティアの応募期間が設けられます。Slushの公式サイトのボランティア申請フォームにて、ボランティアの志望動機、志望チームなどを記入します。「起業家の方と話す機会がほしい」、「投資家の方と話したい」、「ウェブ運営に関わりたい」など、具体的な目的がある場合は、よくリサーチをして、志望グループをなるべく絞って申請することをおすすめします!
当日に会場でSlushにボランティアとして参加できる限り、国籍は関係なく応募・参加することができます(※)。実際に、Slushのボランティアに参加するためだけに、スウェーデン、イギリス等ヨーロッパの他の国やアフリカから来ているボランティアの人も見かけました!
※配属先のグループによっては、当日に会場に来られない人もボランティアを行うことができる場合もあります。応募時に予めフォームに記入しておきましょう。
私は元々SNS運営やウェブマーケティングなどに興味を持っていたほか、スタートアップ企業と交流できる機会を少しでも増やしたかったので、PRグループとStartupグループに絞ってボランティア応募を行いました。
そして、10月下旬頃に私は Startup special activity groupのグループリーダーから連絡を頂き、1度オンライン・インタビューを行い、無事同グループへの配属が決定しました。Startup special activity groupとは、スタートアップ企業のCEOのためだけに開かれる招待制の特別なイベントの運営等に関わるグループです。
ボランティアに応募した人はボランティアリストに名前が入り、グループリーダーが一人一人選んでグループを組んでいく仕組みになっているようです。
Slushボランティア限定のイベント
11月11日(Slushスタート18日前)には、Volunteer Dayというボランティアのためだけの特別なイベントが催されました。フードデリバリーアプリのWolt社CEOからのトークセッション、著名な投資家の方々からのトークセッション、当日にボランティアがどう振舞えばよいのか、ボランティアとしての心構えに関するレクチャー・ワークショップなどがありました。午前9時から午後3時までの6時間(お昼休憩1時間はさむ)開催され、ボランティアメンバー全体の士気の高まりを感じることができました。
11月21日(Slushスタート約1週間前)には、Startupグループのメンバー限定のSlushのオフィス訪問とグループメンバーとの交流会が開かれました。非公開でかなり特別な機会だったため、詳細についてはお伝えできませんが、内容盛りだくさんで学びのある充実した3時間を過ごすことができました!
Slush当日の様子
そして、11月29日には、一般公開前日ながら、起業家と投資家限定で参加できるイベントが多く開催されるSlush Day0があり、この日から無事Slush week 2023がスタートしました!私がStartup special activity groupのメンバーとして担当した業務は全てこの日に行いました。
1つ目は、招待制のCEO向け朝食イベントの運営です。招待制かつ非公開のイベントのため、具体的な内容については紹介することができませんが、世界を率いる若きCEOの方々と会話をする機会もあり、非常に貴重な経験をさせて頂きました。
2つ目は、Slush100(※)のファイナリスト発表のセレモニーのリハーサルへの参加です。こちらは単に、ファイナリスト役としてステージに立ち、音響や照明、セレモニーの流れ等の確認のお手伝いをしたのみですが、本来では限られた人しか立つことの出来ないステージに立ち、大規模な音響や照明のパフォーマンスを間近で感じられたことは素敵な思い出です!下の写真はステージ裏からの写真です。
※Slush2023の花形イベントの一つ。世界中の数多くのスタートアップ企業が参加するピッチイベントで、優勝者に選ばれた企業は100万€(約1億6000万円)の投資が貰えるという大規模なイベントです。
Slushのイベントに参加できるのもボランティアの特権!
Slushのボランティアは、自分のシフト以外の時間はSlushを自由に回ることができ、招待制のイベントでない限り、基本的に全部のイベントに参加することができます。本来Slushにビジターとして参加する場合は、約10万円~とかなり高額なチケットを購入する必要があるため、ボランティアになることで高価なチケットを購入する必要なく、様々なイベントへのアクセスを得ることができるというのは、ボランティアの特権ではないでしょうか。興味のある企業のブースを巡り、その企業の方のお話を伺ったり、ステージ上のトークセッションを聞きに行ったり、事前にマッチング(※)した企業の方とミーティングスペースでショートミーティングを開いたり、自分の関心に沿って自由に回ることができます。
※Slushの参加者・ボランティア・ビジター(すなわち、Slushのチケットを持っている人)のみがアクセスできるSlushのオンラインプラットフォームがあり、そこで気になった人に連絡をし、マッチングした場合、Slush当日にMTGスペースでショートミーティングを開くことができます。
サンナ・マリン元首相によるトークセッション(参照:YouTube)は特に注目を集めており、開始10分前の時点で、ステージの周りには溢れんばかりの聴衆が集まっていました。
ボランティアは無料でランチビュッフェが楽しめる!
また、当日の運営を支えるボランティアが快適に過ごせるよう、ボランティアエリアの設置とフリーランチの提供が行われていました。ボランティアエリアでは、リラックスしたりボランティア同士が交流したりするための椅子が多く用意されているほか、数多くのドリンク・スナックが用意されていました。その中でも特に注目を集めていたのは、オートミルクのソフトクリームマシーンです。Oatlyという世界でも著名なオートミルク製品会社によるブースで、フィンランドのオートミルク愛、また、Slushのサステナビリティ意識の高さも感じられました。
そして、ボランティアにはイベント中は無料でランチビュッフェ(サラダ、3種類のメイン料理、パン、コーヒー、デザート)が提供されていました。本来であれば約10€(約1600円)もするレストランのランチビュッフェが約1600人のボランティアメンバーに無料で提供されているというボランティアへの待遇の良さから、いかにSlush運営においてボランティアが欠かせない存在としてみなされているか、知ることができるでしょう。
貴重な時間、経験、人との出会いを得られる場
Slushという世界規模のイベントにボランティアとして運営に関わることで、ボランティアとしての貴重な経験・時間はもちろん、当日のSlushの諸イベントへの参加によって新たな知見を得ることができました。また、Slushのアフターパーティー(Slush後には参加者全体用のアフターパーティ―と、ボランティア限定のアフターパーティーの2つが開催されます!)では、他のボランティアの方と更に交流を深めることができました。
ボランティア同士もLinkedin(世界最大級のビジネス用SNS)で連絡先を交換するのが、Slushのカルチャーの一つです。Slushで出逢ったボランティアは、単なる「友だち」ではなく、ビジネスの場でも支えあう仲間にもなるのではないだろうか、と期待を膨らませています!
文・構成・写真/SD学生編集部(M.M 在フィンランド)