サーキュラーエコノミーに特化した創業支援プログラム「CIRCULAR STARTUP TOKYO(サーキュラースタートアップ東京)」第1期 DemoDay(成果発表会)に参加し取材してきました。
サーキュラースタートアップ東京は、東京都の多様な主体によるスタートアップ支援展開事業「TOKYO SUTEAM」の協定事業者としてメディア運営・サステナビリティ支援事業を手掛けるハーチ株式会社が運営するサーキュラーエコノミー(循環経済)に特化したインキュベーションプログラムです。
2024年8月3日に Tokyo Innovation Base で開催された成果発表会では、第1期(5ヶ月間)のプログラムに参加した15チームが、企業・投資家・大学・研究機関向けに成果発表ピッチを行いました。
オープニング〜緊張の舞台へ
ハーチ株式会社 加藤 佑 代表のオープニングの挨拶に始まり、サーキュラースタートアップ東京のプログラム紹介が行われました。
今回は、プログラムの集大成のピッチイベントということで、3名の講評者(Archetype Ventures 北原 宏和氏、中村 聡志氏、東大IPC 河合将文氏)に加え、多くのアドバイザー、メンター、一般参加者も詰めかけ、このプログラムやサーキュラーエコノミーに対する関心の高まりが感じられました。
ステージも本格的で、ピッチ参加者にとっては緊張の舞台となったようです。
登壇者は東京、神奈川、愛知、島根、ヘルシンキから参加の15チーム
各チームは、それぞれの事業フェーズや目的に合わせて
「成果報告型」連携先や支援企業・団体を募る
「資金調達型」資金調達を目指す
のいずれかのピッチを行いました。
タイムテーブルの15チーム中、12チームは「成果報告型」、最後の3チームは「資金調達型」です。
各チーム12分の持ち時間で、チームの成果をアピールしました。
各チームのピッチを紹介していきます。
【成果報告型】
1 難波亮太 / 株式会社EcoLooopers
植物性廃棄物を活用したセルロースナノファイバーの研究開発・販売事業
2 宮垣真由子・Benoit Mantel / ヘルシンキノコ
https://www.helsieni.fi/en/helsinkinoko/
コーヒーかすを用いた家庭用キノコ栽培キットの提供
(参照:「コーヒーかすでキノコを育てる!フィンランド「Helsieni」社の資源循環型キノコ栽培キット」 Sustainability Driver)
3 髙橋慶成 / 合同会社 YTRO DESIGN INSTITUTE
廃材や天然素材の塗料化をきっかけに、ものづくりのエコシステムをつくる
4 山岡未佳・山梨小百合 / Beautiful timeS
トランジションデザインで、人を持続可能な食に対する意思決定と行動選択に導く仕組み作り
5 藤代圭一・寺田雅美 / 隠岐サーキュラーデザインラボ
旅を通じて資源循環を学びあうフィールドワークアカデミー
6 繁田知延 / PHI(ファイ)株式会社
「環境教育」×「地域資源循環」による、持続可能な社会の創り手の育成
7 本田宗洋・秋山貴哉 / エコファニ(三菱地所株式会社)
オフィスビルのテナントに向けたリユース家具の販売・引き取り事業
※オンライン参加
8 高橋浩人・宇多峻佑 / Team FarmBot Cafe(鹿島建設株式会社)
建設業を自然循環の一部に戻す「生態系ビルディング」の推進
※会社としてではなく、個人活動として参加
9 小野綾香 / RIPPNIS株式会社
心地よい住環境への補助線を引く家具空間サービス
10 岩澤宏樹 / 株式会社水と古民家
汚泥と合成洗剤の分解能力を高める浄化槽の開発/既存浄化槽の機能改善
11 久保順也・手嶋翔 / ヘリテッジ株式会社
環境配慮型素材とジェンダーレスをテーマとするアパレルブランド「CRAFSTO」
12 福留聖樹・上野立樹 / LiNk合同会社
デジタルデータシェアリングによるサーキュラーエコシステム構築
【資金調達型】
13 大河淳司・小島剛 / リベロント株式会社
全く新しい購買体験を演出するサーキュラープラットフォーム
14 岸悟志・林勇士 / 株式会社ナオセル
壊れたスマホを買い手の需要でプライシングするデバイス回収プラットフォーム
15 小柳裕太郎 / 株式会社JOYCLE
廃棄物を輸送・焼却せずに資源化する小型資源化装置およびデータ可視化システム
もっと腹黒く、ビジネスにチャレンジしよう!
講評者からは、たまに厳しいアドバイスもありましたが、5ヶ月間一緒に事業創出に向けて頑張ってきた皆さんを温かく見守るコメントが大半でした。
イベントはオンライン配信もされ、slido には、各チームを応援したり、連携提案をするコメントで溢れており、皆でサーキュラーエコノミーの実現を目指そうという機運の高まりが感じられました。
一方で、全体的に、理想を語るだけでなく、ビジネスとして成功させるためには、もっと腹黒さが必要、という意見も聞かれました。
実際に、ビジネスにおいては、まだまだサステナビリティよりも、目の前の利益が優先される傾向が強いでしょう。まわりを巻き込んでサーキュラーエコノミーに取り組むには、したたかに立ち回って少しづつでも実現していく強い意志が必要になります。
ただ、今日、これだけ多くのサーキュラーエコノミー事業に取り組むチーム、その事業を支援するメンターや企業が集まるイベントが開催されたことは、日本でも確実に認識が深まっている証拠でしょう。
これだけ多くの仲間、アドバイザーが知恵を出し合い、助け合いながら、事業に取り組む機会はなかなかないと思います。
サーキュラースタートアップ東京の第2期の募集も開始されるとのこと。サーキュラーエコノミーの事業にチャレンジしたい人は、ぜひこのプログラムに応募してみてください。
取材日:2024年8月3日