こんにちは、SD学生編集部です。
2025年11月29日、東京農工大学で行われた「地球とカラダにやさしい、未来のスイーツ展」に参加してきました!実際に見て、聞いて、そして味わってきたリアルな体験談として、当日の様子をプログラムの流れに沿ってたっぷりお届けします。

1. 【学びと発見】日本の未来の食を考える熱いセッション
まず開場後、メインステージでは「日本の食の未来」を考える、非常に充実したプログラムが展開されました。
フードテックの取り組みについて(農林水産省)
イベントの冒頭、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部より、吉田 和樹 さんが登壇しました。国が推進するフードテック(食の技術革新)が、日本の食料問題や環境問題に対し、どのように関わっているのか、お話がありました。

基調講演:「食と地球環境」
続いて、株式会社パソナグループ NATUREVERSE総本部の宮地 雅典 さんによる基調講演が行われました。テーマは「食と地球環境〜プラントベースフードの可能性」。私たちが日々行う食の選択が地球全体にどんな影響を与えているのか、またプラントベースフードが持つ大きな可能性について、分かりやすくご説明されました。

【主催者の想い】「代替食」から「日常」へ(P-LAB)
ここで、本イベントの主催である一般社団法人 Plant Based Lifestyle Lab (P-LAB)より、大村 淳 さんが登壇。この団体が目指すビジョンについて熱いプレゼンテーションがありました。

特に印象的だったのは、この強いメッセージです。
プラントベースライフスタイルの未来 〜「代替食」から「日常の選択肢へ」〜
これまでは「お肉が食べられない時の代わり」というイメージが強かったプラントベースフード。しかしこれからは、「美味しいから選ぶ」「心地よいから選ぶ」という、当たり前の「日常の選択肢」にしていきたいという強い意志が語られました。

【イノベーションの場】「農」「食」「エネルギー」の未来を創る「邂逅館」
そして今回のイベント会場となったのは、東京農工大学の「邂逅館(かいこうかん)」。
東京多摩(西東京)地域は、豊かな自然を持つ未来の都市モデルとなるポテンシャルを持つエリアです。この邂逅館は、その東京多摩地区で、研究機関、民間企業、スタートアップ、自治体などが集い、循環型社会を産学官民で共創する中心地となることを目指しています。
邂逅館は「農」「食」「エネルギー」の研究開発と実証のハブであり、まさにこの場所で「食と地球環境」をテーマにしたイベントが開催されたことに、大きな意義があることが伝わってきました。

参考:国立大学法人 東京農工大学「西東京国際イノベーション共創拠点/邂逅館」
【開発秘話】パネルディスカッション
熱いトークセッションは続き、いよいよ本イベントの中心テーマに迫るパネルディスカッションがスタートしました。
テーマは「商品開発担当者が語る プラントベース食品の消費者ニーズはどこにあるのか?」。
| 登壇者 | 所属・主な役割 |
| 深澤 友貴 さん | オイシックス・ラ・大地株式会社(プラントベースシリーズのミールキット「Plant Oisix」開発に関わる) |
| 小林 幸子 さん | キユーピー株式会社(グリーンキユーピーブランドに関わる) |
| 柴田 愛里沙 さん | 株式会社TREASURE IN STOMACH 代表取締役(ヴィーガン&グルテンフリースイーツ専門ブランド「CHaT」を運営) |

議論の中で特に盛り上がったのが、各社の「選ばれるための工夫」と「美味しさへのこだわり」です。
まず、オイシックス・ラ・大地の深澤さんが強調したのは「華やかな見た目」の重要性です。
「まずは何となくでも手に取ってもらいたい」という思いから、ビジュアルには特にこだわっているそうです。また、プラントベースフードに関心を持つ層は食へのこだわりが強いため、斬新な食材の使い方を提案したり、料理をする中で新しい「気づき」が得られるようなミールキット作りを心がけていると語ってくれました。
続いて、TREASURE IN STOMACHの柴田さんも、いわゆる「見た目の可愛さ(映え)」を大切にしているといいます。
その背景にあるのは、ご自身の子供の頃の実体験です。 小さい頃、アレルギーがあった柴田さんは、可愛くて美味しそうな誕生日ケーキが食べられず、悔しい思いをしたことをよく覚えているそうです。当時、アレルギー対応のお菓子といえば、どうしても茶色っぽくて地味なものばかりだったのだとか。
だからこそ、「アレルギーがある子も、そうでない子も。みんなで同じテーブルを囲んで『おいしいね』と分かち合いたい」。そんな想いから誰もがワクワクするような華やかなお菓子を作ることにこだわっているそうです。
また、「スイーツは普通の食事よりも我慢が難しい“嗜好品”。だからこそ、味にも一切妥協はしません」という力強い言葉も印象的でした。
そして、キユーピーの小林さんも、美味しさへの追求こそが普及の鍵だと語ります。「一度でも口にしてもらえれば、その美味しさに気づいて、きっとまた食べたくなってもらえるはず」。そんな想いを胸に、グリーンキユーピーシリーズの商品づくりに取り組んでいるそうです。
実際に、以前開催されたイベントでのマヨネーズ食べ比べ企画では、なんと通常のキューピーマヨネーズよりグリーンキユーピーの方が好きという人が多くいた、という驚きのエピソードも披露されました。
さらに、すぐに真似したくなる「小林さん流の使いこなし術」も伝授してくれました。野菜サラダにはまろやかで優しい味わいの「グリーンキユーピーのマヨネーズ」を、味がはっきりしたお肉やシーフードが入ったサラダには「いつものマヨネーズ」をと、冷蔵庫に「2本ストック」して使い分けるのがさらに美味しく楽しむコツなんだそうです。
今はまだ生産量が少なくちょっぴりお高めですが、「人気が出てたくさん作れるようになれば、もっとお手頃にできるはず」とのこと。これからの広がりに期待ですね。
【熱烈プレゼン】出展企業ピッチ
各出展企業によるショートピッチ(プレゼンテーション)も開催され、短い時間の中で、自社の技術や新商品にかける熱い想いが参加者に伝えられました。
各社のこだわりを聞くと、ますます試食が楽しみになりますね!

2. 【実食体験】驚きの美味しさ!賑わう試食ブース
学びのセッションと並行して、会場の傍らでは全16社による展示・試食ブースが大賑わいでした!
実際にいただいた商品の一部をご紹介します!

🧁 もちもち食感の秘密は…こんにゃく!? – UMAMI UNITED:植物性卵パウダーを使ったフィナンシェとカヌレ
「植物性の卵」を使った焼き菓子が登場! 原料を聞いてびっくり、なんと「こんにゃく粉」や「きくらげ」などが使われているそうです 。 実際に食べてみると、フィナンシェもカヌレも、生地の目がぎっしりと詰まっていて弾力があります。特にカヌレは、こんにゃく由来の弾力がいい仕事をしていて、噛むたびに楽しい「もちもち食感」が堪能できました。


参考:UMAMI UNITED JAPAN 株式会社「UMAMI EGG (代替卵)」
🍪 大豆ミートがお菓子に変身!? – 不二精油:プライムソイを使った「森のおしゃべり」
こちらはなんと、大豆ミートを使ったフロランタン風のお菓子! 普通はお湯で戻して使う大豆ミートを、あえて「そのまま」ナッツや豆乳クリームバター、豆乳クリーム等と合わせて焼いているのが斬新です 。 ザクザクッとしたクリスピーな食感が香ばしいナッツと相性抜群で、「お肉の代わり」だけじゃない大豆ミートの新しい可能性に驚きました。調布の人気菓子店「フキアージュ」のシェフ監修というのも納得の美味しさです 。

🥜 ぎっしり、しっとり。素材の甘さを噛み締める – TREASURE IN STOMACH:イチジクと胡桃のスコーン
同社が運営するブランド「Chat(チャット)」で一番人気という焼き菓子「イチジクと胡桃のスコーン」もいただきました 。 口に入れると、とにかく生地が「ぎっしり&しっとり」! スコーンにありがちなパサパサ感は皆無です。素材本来の優しい甘さが感じられる一品でした。

🍨 濃厚なのに罪悪感ゼロ!魔法のアイス – エクリプス・フーズ・ジャパン:eclipseco(エクリプスコ)
デザートの締めは、やっぱりアイス!アメリカのスタートアップが開発したアイスクリームが日本にやってきました。このアイス、牛乳や卵を一切使わず、 複数の植物由来原料を組み合わせて、乳製品特有の「コク」や「なめらかさ」を科学的に再現しているのだとか。
リッチな味わいなのに、コレステロールやトランス脂肪酸はほぼゼロ 。罪悪感なく楽しめるアイスでした。

そして、スイーツ展というタイトルのイベントですが、甘いものだけでなく、お腹にたまる「おかず系」も充実していて、どれもクオリティの高さに驚かされました。
🥟 肉汁(?)じゅわっ!「肉じゃない肉まん」- Oisix:P肉まん
一口食べて、「えっ、これ本当にお肉入ってないの!?」と驚かずにはいられないほどの完成度でした。 中の「P肉(プラントベースミート)」に加えて、国産野菜が6種類も入っているので深い旨みが感じられます。皮には豆乳を使っているため、ほんのりとした優しい甘さと「もちふわ」食感が楽しめました。


🍜 ワシワシ食感がクセになる「次世代担々麺」- Nomy Japan:麹プロテイン麺と麹そぼろのヘーゼルナッツ担々麺
「麹(こうじ)」の菌から作られた「マイコプロテイン」を使った麺とそぼろ……と聞いて、少し身構えましたが、これが絶品!麺は「ワシワシ」とした噛み応えがあって満足感抜群。 上に乗った「麹そぼろ」も、いわゆる「ひき肉」の食感です。 ピリ辛の濃厚ソースが麺によく絡んで、箸が止まらない美味しさでした。これでタンパク質もたっぷり摂れるなんて最高すぎます。
Nomy Japanのマイコプロテインのタンパク質含有率はなんと50%とのことで、美味しくタンパク質もたくさん取れるのは嬉しいですね。

参考:NoMy Japan株式会社「『マイコプロテイン』とは」
🥚 魔法のような「野菜生まれのたまご」- カゴメ:Ever Egg
クラッカーに乗せて提供された鮮やかな黄色のペースト。見た目はどう見ても「たまごサラダ」ですが、なんと人参と白いんげん豆でできているそうです!
味も食感も、完全に濃厚なたまごサラダ! かぼちゃなどでコクを出しているそうで、野菜だけでこの「卵の旨み」を再現できる技術には驚きです。


🥢 ほっこり優しい「出汁香る和惣菜」- ネクストミーツ:100%プラントベース和惣菜
今回いただいたのは「大豆ミート入り卯の花」。しっとり優しいおからの味わいに、昆布出汁の旨みが染み渡ります。中に入っている大豆ミートが弾力のある食感のアクセントになっていて、ヘルシーなのに食べ応えもバッチリでした!
実はこの100%プラントベース和惣菜シリーズは、インバウンドの観光客の方に向けて、ホテルなどでも提供できるように開発された商品だといいます。動物性原料を使わない和食なら、世界中の人が安心して食べられますよね。日本の美味しい食文化が、さらに世界へ広がるきっかけになりそうです。

参考:ネクストミーツ株式会社「100%プラントベース和惣菜」
美味しく、楽しく、サステナブルな食の未来へ!
今回のイベントを通じて最も強く感じたのは、「プラントベースフードは、もう『我慢して食べるもの』ではない」ということです。
P-LABが掲げる「『代替食』から『日常の選択肢』へ」という言葉の通り、自分のカラダをいたわりたい時、地球のことをちょっと考えたい時、あるいは単に「美味しいものが食べたい時」に、当たり前にプラントベースフードが選ばれる——。
そんな美味しくて、楽しくて、やさしい食の未来は、もうすぐそこまで来ていると確信できる一日でした!
文・構成・写真/SD学生編集部(M.M)






