こんにちは!学生編集部です。
現在、2026年2月から3月にかけてスペイン・バルセロナに滞在しているのですが、街を歩いていると、アントニ・ガウディが手がけた建築物が日常の風景の中に当たり前のように溶け込んでいることに驚かされます。
今回訪れたのは、そんなガウディ初期 (1899年)の傑作の一つ「カサ・カルベット(Casa Calvet)」。繊維業を営むブルジョアのペラ・マルティ・カルベット(Pere Màrtir Calvet)のために建設された賃貸マンションであり、1900年にはバルセロナ市より「芸術的建築年間賞」を受賞しています。
ガウディ建築ならではの細かな装飾が人目を引きます。

そしてその1階には、バルセロナ発のスペシャリティコーヒーロースター「D·Origen Coffee Shop(ディー・オリヘン・コーヒーショップ)」が入っています。
しかしこのカフェ、注目すべきはコーヒーの味だけではありません。
店内に入ってまず目を奪われるのが、飴色に輝く独特なデザインのインテリアたち。

実はこれ、コーヒーかす×バイオプラスチックでできた3Dプリント家具なんです。
ガウディの歴史的建築と、最先端のサステナブル技術が融合したこの空間。
実際に訪れて感じたその魅力をレポートします!
廃棄物が「アート」に変わる仕組み
カフェ公式の情報によると、このユニークな家具は「コーヒー抽出後の豆かす」と、トウモロコシなどを原料とする「バイオプラスチック(PLA)」を混ぜ合わせて作られています。いわゆる「バイオコンポジット」と呼ばれる素材です。
作り方は簡単に説明すると、次のような3ステップです。
- まず、コーヒーかすとPLAを混ぜ合わせ、熱してドロドロに溶かします。
- それを一度長い紐状に伸ばし、細かくカットして「ペレット」状にします。
- このペレットを再び溶かして紐状の素材に戻し、3Dプリンターで積み上げていくことで、自由自在に好きな形を作り出します。
一度粒状に加工することで素材としての安定性を高め、複雑な曲線のデザインも可能にしているのです。
実際に近づいて見てみると、3Dプリンター特有の細かな層状の模様が確認できます。

お店のあちらこちらにコーヒーかすを使ったインテリア
お店の中をもう少し見てみると、コーヒーかすとバイオプラスチックでできた家具は他にもあります。特に目を引くのが、壁から吊り下げられたランプシェードと、客席に置かれたスツールです。


デザインを手がけたのは、「LOWPOLY」というスペイン・マドリード発のスタートアップ。彼らは、コーヒーかすだけでなく、オレンジやブドウ、バナナ、オリーブといったスペインならではの食料廃棄物を使って、サステナブルな素材「LOWIMPACT®」を作ることに特化しているプロフェッショナル集団です。
今回の家具に使われたコーヒーかす×PLAの素材は、なんと98%が有機成分。石油由来の成分は一切使われておらず、最終的には生分解して土に還るそうです。
参考:LOWPOLY公式サイト
自然から着想を得た「流動的」なデザイン
彼らのデザインは、コーヒーの液体の「流動性」からインスピレーションを得ているそうです。 言われてみれば、ランプシェードの曲線はコーヒーをカップに注いだ時にできる波紋のようにも見えますよね。そしてスツールは、巨大なコーヒー豆の形をそっくり真似たユニークな形状になっています。

また、個人的に素敵だなと感じたのは「光」の演出です。
カフェカウンターやランプシェードは中から光が当てられているため、素材が美しく透けて見えます。コーヒー色の光が店内に広がり、とても幻想的な雰囲気を作り出していました。

至福の一杯、フラットホワイト
さて、せっかくのスペシャリティコーヒーロースターなので、コーヒーも1杯いただきました。 今回は、欧米のカフェでは定番ですが、日本ではあまり見られない「フラットホワイト(Flat White)」を注文しました。価格は3.6ユーロ(約655円※2026年2月時点)。

D·Origen Coffee Shopはもともと、エル・アルビル(El Albir)という場所にあるロースターが母体で、豆へのこだわりは相当なものです。なんと、2026年度「The World’s 100 Best Coffee Shops」にもランクイン(世界83位)している名店です。(参考 The World’s 100 Best Coffee Shops 公式サイト)
一口飲むと、エスプレッソの苦味と、きめ細かく泡立てられたミルクの甘みが口いっぱいに広がります。カフェラテよりもミルクの層が薄く、エスプレッソの風味がダイレクトに感じられるのがフラットホワイトの特徴ですが、ここの一杯はとにかく舌触りがクリーミーで、非常に飲みやすかったです。
実は私、コーヒー独特の強い酸味が少し苦手なのですが、このコーヒーは酸味が弱めで美味しくいただくことができました!コクがあるのに後味はすっきりとしていて、非常に飲みやすかったです。
観光地ど真ん中の立地で、このクオリティのスペシャルティコーヒーが3.6ユーロで飲めるのは、正直かなり良心的だと感じました。

過去と未来をつなぐ場所
「全ては、自然が書いた偉大な書物を学ぶことから生まれる」
これは、アントニ・ガウディが残した言葉です。彼が生涯をかけて追求したのは、自然界にある有機的な美しさを建築という形で表現することでした。
今回訪れた「D·Origen Coffee Shop」の取り組みと、このガウディの哲学には、共通するものがあるような気がします。
ガウディが石や鉄を使って植物や生き物の曲線を模倣したように、このカフェでは「コーヒーかす」という自然由来の素材を使い、3Dプリントという最新技術で、再び有機的なフォルムへと生まれ変わらせています。
かつては捨てられていた自然由来の素材に新たな命を吹き込み、価値あるものへと昇華させる。そのアプローチは、まさにガウディが持っていた「自然への敬意」と「クリエイティブな精神」そのもののような印象を受けます。
100年以上前の建築と、2026年の最新テクノロジー。
一見すると対照的な二つですが、根底にある精神はしっかりと繋がっています。
コーヒー好きの方はもちろん、建築やデザイン、そしてサステナビリティに関心のある方は、バルセロナを訪れる際はぜひ一度立寄ってみていただきたいスポットです。
歴史的な空間で、未来のスタンダードになるかもしれない「循環するデザイン」を体感してみてください。
店舗情報:
- 店名: D·Origen Coffee Shop (Casa Calvet店)
- 住所: Carrer de Casp, 48, 08010 Barcelona
- アクセス: 地下鉄Urquinaona駅から徒歩5分
- HP:D·Origen Coffee Roasters 公式WEBサイト
文・構成・写真/SD学生編集部(M.M)






