“サステナブルファッション”という言葉を目にしたり耳にしたりしたことはありますか?サステナブルファッションとは、“衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組み”のことで、最近注目を浴び始めています。
今回は、特にファッションを通じて環境負荷の低減を目指している、とあるスウェーデン発のブランドについて紹介します!
ファッション産業は環境負荷が非常に大きい産業であるということをご存じでしょうか。原材料の調達から生地・衣服の製造、輸送、そして着用から廃棄というように、それぞれの段階で環境へのインパクトがあります。
実際に、原材料調達から製造段階までに排出される環境負荷を服1着あたりに換算すると、約25.5㎏のCO2の排出、約2,300ℓの水の消費が伴い、生産過程では使われない端材の廃棄も生じています。服1着だけでこれだけの環境インパクトがある上、昨今は大量に衣服が生産され、トレンドが変わるごとに大量に廃棄される、そんな状況にあります。ファッションによる環境負荷の大きさは国際的に取り組むべき課題として問題視されています。(参考:環境省「サステナブルファッション」)
このような状況を背景に、サステナブルファッションに取り組む企業は世界中にたくさんあります。今回は、よりサステナブルでスタイリッシュなバックパックの製作を目指しているスウェーデン発の「ガストンルーガ」について紹介していきます!
暮らしをもっとエコフレンドリーにする製品づくり
スウェーデンやフィンランドなどのスカンジナビア諸国には、飽きの来ないデザインとずっと使い続けたくなるような機能を兼ね揃えた製品を作り出す文化、そして、そんな高品質のものを長く使い続けるライフスタイルが根づいています。
このスカンジナビアスタイルからインスピレーションを得て、高品質なバックパックとアクセサリーを販売するブランド「ガストンルーガ」が2016年に創立されました。ブランド創立以来、環境負荷がより小さい方法で自社製品を生産するべく、生産方法の改良を重ねてきています。また、生産方法だけでなく、輸送方法や包装方法など、さまざまな面でもサステナブルな工夫を重ねています。
環境へのインパクトをゼロにするために
製品の生産や輸送など、自社の経済活動によってどうしても環境への負荷は生じてしまいます。この負の環境負荷を未然に防ぐため、もしくはゼロにするためにカーボンオフセット(※)を目指したCarbon Footprintとの提携を行っています。
ガストンルーガは収益の一部を断岸環境保全ネットワーク(Esconet)に寄付し、ケニアのグレート・リフト・バレーへの植樹プログラムを支援しています。この植樹の支援を通じて、ケニアの生態系保護や地域社会への貢献を行っています。
※カーボンオフセット:市民、企業等が①自らの温室効果ガスの排出量を認識し、②主体的にこれを削減する努力を行うとともに、③削減が困難な部分の排出量を把握し、④他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量(クレジット)の購入、他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動の実施等により、③の排出量の全部又は一部を埋め合わせること。
例:企業が自社の削減努力だけでは削減できない排出量を相殺するため、その排出量を吸収できる分の森林の整備を行うプロジェクトを実施する(又はそのようなプロジェクトに投資する)
りんごの皮から作られたヴィーガンレザー!植物性原料を活用したバックパック
ガストンルーガは2023年までに、全ての製品に環境へ配慮した素材のみを使用することを目指しています。
ガストンルーガの製品には動物由来の素材は一切含まれていません。バックパックを作るためのレザー素材や、接着剤、染料など、全ての部分において動物由来のものはゼロです。
レザー素材であれば、動物由来よりも更にサステナブルな「植物由来のヴィーガンレザー」が使われています。たとえば、2021年以降に販売された一部の製品では、廃棄されたりんごの皮からつくられたヴィーガンアップルレザーを素材としています。最近の製品では、環境保護に配慮し、無毒で独特の臭いもない「ポリウレタンコーティングを施した100%リサイクルポリエステル」素材も使われています。
また、ガストンルーガは包装にもこだわりを見せています。製品のパッケージは、FSC認証(※)された紙で作られ、大豆インク(※)で印刷されています。また、一部のバックパックには保護フィルムが付いていますが、このフィルムも100%生分解性で、理想的な条件下であれば、3〜6ヶ月で土に還ることができます。包装にも、とても環境にやさしい原料のみしか使用しないという、徹底したこだわりが見られますね。
※FSC認証:FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)は責任ある森林管理を世界に普及させる事を目的に設立された国際的な非営利団体。環境保全の点から見て適切で、社会的な利益に適い、経済も継続可能な、責任ある管理をされた森林や、林産物の席になる調達に対して与えられるFSC。消費者はFSC認証のマークが入った製品を買うことで、世界の森林保全を応援できる仕組み。(参考:「森を守るマーク 森林認証制度FSC®について」(WWFジャパン))
※大豆インク:主成分を大豆から生成しているため、化石燃料系の資源の使用量を抑えることができる上、埋立処理の際に土中で分解しやすく、とても環境に優しいインクの一つ。(参考:「SOY INKについて」(コジマ印刷))
日々着るもの・身につけるものからサステナブルに
今回はガストンルーガによるサステナブルファッションの取り組みを紹介しましたが、ブランドや企業側だけでなく、消費者一人一人でもできることはたくさんあります。環境に配慮した製品を買ったり、今所有している製品をできるだけ長く使ったり、まだ着られる服はリサイクルに出したり、、。日々着るもの・身につけるものにも意識を向けて、少しずつサステナブルな暮らしにしてみませんか?
文・構成/SD学生編集部(M.M)