2023年4月12日、東京大学・弥生キャンパスで開催された「江戸の暮らしにみるサーキュラーエコノミー 〜 映画『せかいのおきく』上映と農学生命科学研究科の教授らによる講演を通じて」に参加してきました。
このプログラムは、東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部「One Earth Guardlans 育成プログラム」の主催で、4月28日に公開される映画『せかいのおきく』上映会の後、農学生命科学研究科の松本武祝教授(農業史)、五十嵐圭日子教授(生物素材科学、『せかいのおきく』バイオエコノミー監修)、プロデューサーである映画美術監督・原田満生氏による講演会が行われました。
『せかいのおきく』は、
気鋭の日本映画製作チームと世界の自然科学研究者が協力して、様々な時代の「良い日」に生きる人間の物語を創り、「映画」で伝えていく『YOIHI PROJECT』
(参照:YOIHI PROJECT)
の第一弾として公開される映画です。映画のネタバレになりそうなので、講演内容にも詳しくは触れられませんが、映画を通じて、限られた資源を有効活用し、サーキュラーエコノミーを実現していた江戸時代の人々の暮らしを感じることができます。
YOIHI PROJECTのテーマの一つは「自然との共生」であり、映画やドキュメンタリーを通してそれを世の中に伝えていくことを目的としています。SDGsやサステナビリティの重要性は漠然と分かっていても、私たち一般消費者としては、具体的に何をすればよいのかよく分からず、なかなか行動につながっていません。サーキュラーエコノミーでも、その実現にコストがかかり過ぎたり、日常生活の不便さや苦痛を伴うものであれば、普及は難しくなります。また、教育的すぎる内容でも、多くの人の心に響くのは難しいでしょう。
この映画は、江戸時代のサーキュラーエコノミーを題材にしつつも、純粋にエンターテインメントとしての映画の面白さを追求しています。観ていただければ、おそらく、あまりサーキュラーエコノミーなどを意識せずに、登場人物を取り巻くストーリーに惹きいれられます。そのように物語を楽しんでもらうことで、その背景にある江戸の暮らしに触れてもらえれば、というのが制作チームの意図ということでした。
本サイト(サステナビリティ・ドライバー)も、どうやってサステナビリティの重要性を伝え、行動につなげていくかを、日々試行錯誤しているところですが、日本を代表するクリエイターや研究者の皆さんが、エンターテインメントの力でそれに取り組まれようとされていることに感銘を受けました。
映画『せかいのおきく』は、4月28日に公開とのこと。主演の黒木華さん、共演の寛一郎さん、池松壮亮さん他の皆さんの圧倒的な演技を観たい方(佐藤浩市さん・寛一郎さんの親子共演も話題です!)、阪本順治監督ワールドを楽しみたい方、監督オリジナル脚本による他ではあまり見ないテーマ、など見どころ満載の映画です。「せかいの…」というのも気になります。ぜひ劇場に足を運んでみてください。鑑賞後には自然と、江戸のサーキュラーエコノミーの世界に思いを馳せていると思います。